Ryosuke Kobayashi Guitars
2018 Nylon Crossover Electric Fiddleback European Maple
杢の出たヨーロピアンメイプルをサイドバックに使用したエレガットギターです。今回はWhole Lining(ホールライニング)仕様です。
フレンチポリッシュによるセラック塗装です。
このギターの詳細は、三木楽器さんまでお問い合わせください。
ーーーー以下、「メイプル」についてざっくりとーーーー
ちなみに、ギターで使われる「メイプル」には大きく分けて以下の3種類があります。
・ソフトメイプル(メイプルの中では軽く柔らかい。比較的杢が出やすい。)
・ハードメイプル(メイプルの中では硬く重たい。杢が出にくい。)
・ヨーロピアンメイプル(両者の中間程度。伝統的にバイオリン族の製作に使われてきた。)
それぞれエレキギターのトップやアコースティックギター(ナイロン、鉄弦ともに)のサイドバックに使われる場合で特性が大きく異なりますが、アコギの音質に関して言えば、ハードメイプルとヨーロピアンメイプルが適しています。レスポンスが速くて歯切れの良い明瞭な音で、ローズ系の材料とは全く別方向のトーンが鳴ります。これは弾き手の好みや弾き方、ジャンルによって合う合わないが決まります。「優劣」ではなく「違い」で、どちらも素晴らしい材料ですね。それに対してソフトメイプルは、アコギの音質に関してはあまり良い評価がありません。ぼわっとした締まりのない音で、ギターが鳴りきっていない感じがするからです。
ソフトメイプルは杢が出やすくその他のメイプルよりも安価なので、単板でも合板の化粧材としても量産品の「メイプルのギター」にたくさん使われてきました。市場において、それらのギターの印象がそのままメイプルのギターの評価になっている感があるのは否めません。非常に残念なことで、メイプルのアコギが過小評価されている一因でもあると言われています。実際、トーレスに始まりメイプルのサイドバックで製作された銘機は無数にあり、それらのほぼ全てはヨーロピアンメイプルかハードメイプルで作られています。
ちなみに(2回目)、ヨーロピアンメイプルはヨーロッパの人には「シカモア」と呼ばれ、北米の人には「シカモアメイプル」と呼ばれます。そして北米の人が呼ぶ「シカモア」とは、プラタナスを指します。各種メイプルに加えシカモアという通称が地域によって違う樹種を指すため、それらの木材を輸入する立場にある日本では「メイプル」が一緒くたにされるのも無理はないのかもしれませんね。。。
とにかくまとめると、ヨーロピアンメイプルorハードメイプルで作ったアコギは本当に素晴らしい音がします。
ちなみに(3回目)、Birdseye(バーズアイ/鳥眼杢)はほぼハードメイプルにしか出ない杢なので、覚えておくと便利かもしれません。