ここ最近サドルの底面の加工方法(削り方)について立て続けに質問を受けました。1人は楽器店の方、もう1人はリペアマンの方でしたが、もう1人はプレイヤーの方だったので細かいところまで見ているものだなと驚きました。
(ブリッジのサドル溝がきちんと加工されていることを前提として、)サドルの底面は、
・長手方向に直線であること
・端がなめておらず平面であること
・直角が出ていること
が大切です。
それらをふまえて、私は簡単な削り台を作って鉋で削っています。
鉋の下端と木端の直角を利用して削ります。鉋で削ることにより最初に挙げた精度が出るだけではなく、(鉋くずは非常に薄いため)シビアな弦高調整に対応できたり、骨の粉が出ないというメリットもあります。そして何よりも仕事が早くなります。
(ちなみに私は製作において和鉋と洋鉋の両方を使いますが、骨を削るときは刃こぼれを防ぐために和鉋の場合は特殊粉末鋼、洋鉋はPM-V11の刃がついた鉋を使います。)
たまに修理品で例外はありますが、サドルの底面の削り方や精度が誰の耳にもわかるような劇的な音の変化を生むとは考えていません。ですが、このような細かいことの積み重ねが最終的な出音に繋がると思うので、一つ一つの工程を丁寧にこなすことを心がけて製作に取り組んでいます。